安倍首相が自らの進退に言及した理由(ワケ)
9月9日
午後11時30分。 東京の部屋でパソコンを起動させた。 APEC(アジア太平洋経済協力会議)出席のためにシドニーを訪れている安倍首相が、記者会見で「総理の職を賭してテロ特措法の成立に努力する。インド洋での『自衛隊艦船による給油』を継続出来ない場合は、責任を取る。ポストに恋々とするつもりはない」という主旨の発言をした。 今晩、さっそくテレビ朝日からのインタビュー要請があった。 テレビ朝日本社ビルの会議室でカメラの前に座った。 次のようなやり取りを交わした。
「今回、総理が臨時国会開会の前日に、自らの進退に言及しました。参院選挙の敗北にもかかわらず続投を表明したことを考えると唐突な感じがします。総理の意図はどこにあるんでしょうか?」「正直言って、あそこまでハッキリした表現を使ったことに少し驚きました。が、安倍首相の気持ちはよく分かります。総理としては今回のテロ特措法の延長が、日米関係、国際社会における日本の立場等から判断して、日本の国益にとって極めて重要だという認識があるんだと思います。参院で多数を占める野党、特に民主党の小沢代表が反対を表明している状況の中で活路を開く(法律を通過させる)ためには、リーダーとして覚悟を示すしかないと考えたのだと思います。そのことによって、国民に改めて法案の重要性をアピールすると同時に、野党に対してもプレッシャーをかけ、協力を引き出すという戦略ではないでしょうか?!」
「参議院では野党が過半数を持っている難しい状況の中で、この法案を通すために自民党はどうしたらいいと思いますか?」「まず第一に国民の理解を得ることだと思います。現時点の世論調査では『テロ特措法延長への反対が賛成を少し上回っている』状況ですから。総理の国民への説明努力も重要ですが、我々も国会審議を通じて、テロとの闘いに参加する意味を訴えていかなければなりません。私も(幸か不幸か)この法案審議の主戦場になるかもしれない参院外交防衛委員会の自民党筆頭理事になることが内定しています。その立場で最大限の努力をしていきたいと考えています。国民の理解を得ながら、野党に協力を求めていくという流れになると思います。」
「安倍総理は、惨敗した参院選直後に続投宣言をして、これからも政権を担当していく意欲を示しました。そのことと、今回の発言がどうも結びつかないんですが...」「いや、安倍首相は今後も政権を担っていく意欲を十二分に持っています。ただ、テロ特措法は安倍政権にとって(国際公約だと言っているように)進退をかけてもやり遂げなければならない重要法案であり、そのためにはリーダーとしての決意を示す必要がある。総理のそんな気持ちがああした言葉になったのだと理解しています。」
インタビューの後、安倍シンパの2人のマスコミ関係者に続けて会った。 いつもの喫茶レストランではなく、カフェバーで密談(?)した。 かなり辛い「情報交換」だった。 内容は...書けない!!
追伸:小沢党首があそこまで反対を明言している以上、テロ特措法の延長はかなり難しい。 民主党の意向を最大限に取り入れた「新法」で決着を図るのも容易ではない。 安倍総理が「死中に活?」の思いで「総理としての進退」にまで言及した「ココロ」は分かる。 が、「ポストに恋々としない」という表現が適切だったかどうか。 せめてそこに「場合によっては国民の審判を仰ぐ(=選挙で民意を問う)」というセリフをつけ加えて欲しかった。
それがないと、野党へのプレッシャーにはならない。 もっと心配なのは、世の中に「総理自身が自ら引き際を探している」かのような印象(=誤解)を与えてしまうことだ。 明日の朝刊各紙には「安倍首相、テロ特措法不成立の場合は内閣総辞職へ」などと書かれるに違いない。 うーん。 昨日の同行記者団との懇談で、「衆議院の解散は考えていない」なんて言う必要もなかったんじゃないかなあ。 これは誰かのアドバイスだろうか、それとも総理自身の考えなのだろうか???
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